当初は、一部対面でのハイフレックスでの開催を目論んだが、結局完全なzoomでの開催になった。本学の学生や教員のほか、上海外大の学生や院生も参加し、意義深いものとなった。
講演内容は、『阿Q正伝』以外での魯迅の文章を豊富に引き、「国粋(自分の国固有のものへの絶賛)」「奴隷性(支配者が与える社会秩序に守られることで安心する)」など、近代化を阻む中国人民の意識への鋭いまなざしに照らしながら読み解きつつ、最後に人々によって惨殺される姿を人の子イエスの死と重ねながら考えるという、大変刺激的で興味深いものであった。最後のディスカッションでは、魯迅が日本に留学していたこともあって、〈近代化〉に直面する東アジアという、今日まで続く普遍的な問題を鋭く突く質疑がなされ、考えさせられた。