上海外国語大学大学院博士前期課程とのダブル・ディグリー

上海外大3

東京女子大学大学院合同研究科会議議長 馬場 朗 

 大学院博士前期課程は、上海外国語大学(中国)とのダブル・ディグリープログラムを始めます。

 二〇二〇年九月、東京女子大学大学院人間科学研究科と上海外国語大学日本文化経済学院は、ダブル・ディグリー協定を結びました。中国有数の国際都市上海にある上海外国語大学は一九四九年に創立された歴史を持つ大学です。そして一九五九年に日本語専攻課程として出発したその日本文化経済学院は、これまで日本文学・日本語・日本文化等の研究分野での優秀な研究者・人材を数多く輩出しています。今回の協定によって、双方の博士前期課程の学生が、自身の所属大学に在学したまま、相手先の大学の正規課程に入学(留学)し、所属大学と相手先大学の双方の修士学位取得要件を満たして修士課程を修了することにより、三年間で東京女子大学大学院と上海外国語大学大学院の、二つの国の大学の修士の学位を同時に取得できることになります。

 東京女子大学大学院人間科学研究科に進学した学生は、本プログラムに志願する場合には、入学年度の五月に上海外国語大学に出願し七月に合格を認められる必要があります。二年目前期から三年目前期にかけて一年半あちらで実際に授業を履修し一つ目の修士論文を提出します。その後、三年目後期から東京女子大学に戻り半年でこちらの残りの授業を履修し二つ目の修士論文を提出します。こうして、三年間で二つの大学の修士の学位が両大学それぞれの修了要件と学位論文の厳密な審査に基づき与えられることになるのです。

 アジアそして特に中国が今後の世界情勢で大きな役割を演じていくのは余りに明らかです。中国の外国語大学を代表する上海外国語大学での研鑽とその総決算としての修士の学位取得は、皆さんの研究の更なる進展だけでなく社会でのこれからのキャリア形成を強力に支えることになるでしょう。また、このプログラム応募にあたり皆さんによる自覚的な中国語習得はもちろん必要ですが、上海外国語大学日本文化経済学院が日本語を中心に講義・演習を行なっていることも皆さんには大きな利点となるでしょう。また、本プログラムは東京女子大学国際交流奨学金支給の対象となるので、学費の面でも大学からのバックアップがあります。そもそも、二つの国の修士の学位を取るのはたとえ思い立ったとしても、最低でも四年間を必要としますし、二つの大学の別々の煩瑣な進学手続きに悩まされて、普通ではなかなか実現できません。しかし、このプログラムは、東京女子大学大学院に進学する皆さんに、両大学の緊密な協力体制のもと三年間のより短い期間での日本と中国の二つの大学院の修士の学位取得を強く後押ししてくれます。本プログラムが与えてくれる貴重な機会を皆さんがぜひ活用してくれるのを期待します。