Petrik 撮影

「アジアの熱気を感じて」

永良  優衣

勤務先:PT.MKTEC Indonesia

肩書:General manager

東京女子大学現代教養学部国際社会学科経済学専攻(2012年度卒業)

 東京女子大学(現代教養学部国際社会学科経済学専攻)を卒業後、株式会社日本総合研究所に5年間勤務し、その後インドネシアへ渡り約3年が経過しようとしています。

 インドネシアでは自動車関連の日系企業でゼネラルマネージャーとして仕事をしており、従業員約30人の小規模企業のため、日本人は私一人という環境です。

 海外で働きたいと思った最初のきっかけは、学生時代に夏季休暇を使って北京大学での語学研修へ参加したことです。グローバルな学生環境は刺激的で、アジアの熱気を感じた忘れられない経験となりました。特に学生との会話の中で、自分の将来の目標をはっきりと主張し、熱い思いをもって学生生活を送る彼らのことは強く印象に残っています。

 社会人になり海外出張の機会もありましたが、もっと活躍の場を広げたい思いが強くなり、インドネシアで仕事をする決意をしました。インドネシアは人口2億6000万以上で将来的な期待が高まっている国であり、日本からの直接投資も多く行われている国です。大企業から中小企業まで多くの日系企業が進出しており、私は学生時代から興味を持っていました。

 日本との大きな違いは宗教です。国民の多くがイスラム教徒であるため、これは仕事にも大きく影響します。1日に数回のお祈りをするため、就業時間内でもお祈りの時間を設けたり、社内にお祈りをする場所を設置したりする必要があります。また断食月やハラルフード等日本人には慣れない習慣があります。

 私が3年近く仕事をして1番大切だと感じることは「お互いの文化を尊重する」ことだと思っています。私はゼネラルマネージャーという立場なので全従業員をマネジメントする必要がありますが、「日本人だから」「日系企業だから」という理由でルールを押し付けたりはしないよう意識しています。つい、日本で5年間働いた経験から「何でこういうやり方をしないのか」と言いたくなる時もあります。しかし、問題が起きた時は「なぜこういうやり方をしたのか」と、まずは理由を確認してからお互いに話し合うようにしています。結果(目的)さえ見失わなければ、過程はお互いの慣習を尊重して進めていくことが大切だと感じています。

 しかし一方で、自分の意思表示をすることも重要です。「これは言わなくてもわかるだろう」ということは日本人同士ではあっても、海外では通用しません。自分の意思を押し付けるのではなく、認識相違を無くすためにも意思表示をすることは仕事に限らず生活においても非常に重要だと感じています。

 インドネシアを走る自動車やバイクの約9割が日本のメーカーです。彼らが日本のメーカーに強い信頼感を寄せているのを実感します。またSUSHIやTAKOYAKI等も浸透しており、日本に高い関心を持っていることは間違いありません。先人が築いてきた日本の印象や文化に感謝をし、私個人としてこれからも日本の魅力を伝えていきたいと思っています。

 もし今、私が学生時代に戻れるのならもっと積極的にアジアの人々との交流を楽しみたいと思います。海外に行かなくても今は日本にも多くの在留外国人がいます。当時の私は自分の語学力に自信が無く、交流することに消極的になっていました。しかし、実際に海外で暮らしてみると、十分な語学力が無くても積極的に相手に伝えようとすることで、相手も応じてくれることを実感しました。実際に仕事でも最初は翻訳ソフトを駆使して必死に伝えていましたが、徐々に翻訳しなくても自然と言葉が出てくるようになり、相手もこちらの意思を汲み取ってくれるようになりました。今はオンラインでも外国人と交流ができる時代です。是非、学生のうちから恐れずに一歩を踏み出し、「何とかなる!」という自信をつけて欲しいと思います。